
ITマネジメントの阻害要因となるNG行動への対策
ITマネジメントの阻害要因となる行動傾向を生み出しているのは、認識限界、自己偏重、現在偏重、環境順応という4つというお話をしてきました。

では、それらを克服し、マネジメントを有効にする、すなわちうまく進めるにはどのようなことを行えばいいのでしょうか。
結論から言うと4つの対策の方向性があります。
- 形式化
- 段階化
- 習慣化
- 協業化

それぞれの主な特徴はこのとおりです。
形式化は、認識できていないものを見えるようにすることでイメージできるようにする。
段階化は、将来のステップを見えるようにすることで達成感をイメージできるようにする。
習慣化は、習慣的に行うことで難易度を下げ、レベルアップ感覚を得られ、継続したレベルアップができるようにする。
協業化は、手分けして達成することをイメージすることで、安心感と貢献感を得られるようにする。
4つ原因に対するこれら4つの対策はそれぞれ一つに対応しているわけではありません。
- 認識限界への対策としては、形式化と段階化が有効です。
- 自己偏重への対策としては、習慣化と協業化が有効です。
- 現在偏重への対策としては、形式化と段階化が有効です。
- 環境順応への対策としては、習慣化と協業化が有効です。

それぞれを解説していきます。
ITマネジメントを阻害する認識限界への対策
ここでいう認識というものは様々なものを指しますが、大きく分けると、事象そのものの現状の認識、将来像の認識、ものごとの進め方の認識になります。
現状の認識が漏れてしまっていると、今何をやればいいのかがわからなくなってしまいます。そのような時は、認識の限界を突破するための方策が必要となります。その一つが形式化です。
形式化とは、一言でいうと見えるようにするということですが、見えるようにするための行為も含まれると思っていただきたいです。
現状のITがわかっていないのであれば、知っている人を探すなり、知っている人との会議を持つなり、あるいは、一定時間を掛けて自ら調査するなり、見えるようにするための方法をタスクとします。そして、その結果として、見えるような形にします。
形の仕方としては、様々な場面において有効なものがありますが別途詳しく説明するとして、考え方のみ示します。見えるようにするコツとして、まずは漏れがないことを基本としますが、まとめ方として3レベルくらいで表現できるとよいです。
次に将来像が見えていないことに対する方策ですが、こちらも形式化となります。全く新たな取り組みである場合は、将来像のみを描くことになります。ところが、ITを導入する場合においては、多くは現状の業務なりITが存在します。まずは現状を認識するところからとなります。その上で、将来像を描きます。
将来像の形式化も現状と同じように、3レベルくらいで表現できるとよいです。将来像はこれからどうなるか、そしてどうしていくかをイメージするうえで重要となりますので、取り巻くものも含めて描いたほうがよいです。ITであれば取り巻くものは、利用する人たちや関係する人たちということになります。
そして、ものごとの進め方が見えていないことに対する方策としては、段階化が有効となります。
段階化は、時間軸を含んだ進め方の概念となります。よって、現状から将来像へと変化させるにあたり、何をしていくべきか、ということを、最初の一歩から決めていくことになります。プロジェクトにおいては、プロジェクト計画を立てるということになります。ただし、そのような大きな意味だけではなく、日常業務においては、出てきた課題に対しての対応方法等についても、方法が見えていないのであれば、段階化は有効となります。
認識の限界が行動に制限を与える原因としては、伝え方の問題もあります。仮に自分だけが認識していたとしても、他の人が全くわかっていなければ、ものごとは進みません。その対策についても、3レベルぐらいで形式化したり段階化したりすることで対策となります。
ITマネジメントを阻害する自己偏重への対策
ここでいう自己は自分そのものもありますが、自分がイメージしている活動ゾーンという意味もあります。
活動ゾーンの中にいる分には心地よいですし、安全に思えるかもしれません。しかし、実は現実的には外界が存在するわけですから、そのままでいいわけはないです。外界の中に人が作り上げたITも居ますので、何を起こすかわからないところもあります。よって完全に自分のコントロール配下にすることはできません。
また、将来像に向かうにあたっても、何らかの変化が必要となりますから、自己を突破しないといけないといことになります。
そのための、対策として有効なのは、習慣化と協業化になります。
ここで言う習慣化は、現状の習慣という意味ではなく、新たにやるべきことの習慣化ということになります。現状を打破するためには、変化していく必要があるわけですが、強制的な指示を与えたとしても、すぐに戻ってしまいます。すなわち新たな自己になるには、新たな習慣化が必要になります。マネジメントの場面においても、その場限りの方策ではなく、習慣化を意識するとより確実に成功に向かうことでしょう。
もう一つの方策として協業化がありますが、他に人がいる場合に有効となります。ここで言う協業は、チームのようなものを意味するだけでなく、関わる人すべてということになります。外注先であったり、エンドユーザであったり、あるいは経営者が関係してくる場合もあるでしょうが、それも含めて関わるすべての人との協業化となります。
何らかの問題でやるべき仕事が滞っていたとしても、その人自身はやらなくていいと思っているとしたら、いつまでも解決しません。得てしてこのような状況に落ちるのは、他の人との間にある仕事であることが多いです。協業化により仕事の分担を明確にする、というのが一つの策です。その際に重要なのは、やる本人が安心感を得られるようにするということです。そして、さらに貢献感を得られるという効果もあります。
ITマネジメントを阻害する現在偏重への対策
現在に偏重しているということは、今やっていることに没頭して他が見えていないという状況となります。
見えていないのは、過去も未来もということになります。過去については忘れてしまう、というのが最も現れる現象です。未来については、未来起こりうることやしなければならないこと、あるいはあるべき姿に対して、思考が現在に偏っているため見えていない、ということになります。
対策としては、一つは形式化となります。
形式化は見えるようにするということになります。未来が見えないときは、見えないがゆえにやることがわからず、不安要素も増えるため、見ないようにする、といった悪循環が起きます。それゆえに現在に寄ってしまうことにもなります。
その状況を打破するには、見えるようにする、ということがやはり対策となります。未来の姿を3レベルくらいで描くことで見えやすくなります。
過去に決まったことを忘れてしまったり、過去に構築されたものや実施したプロセスなどがわからない、ということはよくあることですが、そのような場合にも形式化が有効となります。未来に影響することや他の人が知る必要がありそうなことは、その場の言葉のみで終わると後々無くなってしまいます。実行しているのは現在であっても、いずれは過去になります。よって未来を想像して記録をしておくということが対策となります。
もう一つの対策としては、段階化となります。
現状に留まってしまうことに対しては、現状打破が必要となります。そのために、まずは何が必要か、というところからスタートすることになります。あるべき未来に向かうために、段階的な状態を描き、時系列に何をすべきかも描きます。
ITマネジメントを阻害する環境順応への対策
環境順応による最もわかりやすい現象としては、流されるということになります。集団で仕事していて、皆がまだやらなくていい、と思っている雰囲気だと、本当はやらなくてはならないタイミングであるにも関わらず、放置してしまう、ということが起きます。
さらに、集団ではなく、一人に何かしている際にも、外界の風潮などにそれとなく流され、自分の目的と違った方向に進んでしまうということもあります。
対策の一つとしては、習慣化があります。先にも触れましたが、習慣は現在の習慣ではなく、新たな習慣です。流される自分を打破するには、違う自分になる必要があるということで、自己偏重への対策と同様となりますが、新たな習慣化が対策となります。
集団で仕事している場合は、集団としての習慣化も必要となる場合があります。集団が変われば、悪い方向ではなく、いい方向に順応し、よい結果となります。
もう一つの対策としては協業化になります。
集団の場合は、協業を前提とした役割分担やタスクを整理することで、全体の雰囲気が変わることを意味しています。協業化は一旦対応しても、また状況が変化すれば別な形にする必要もあることから、習慣化と合わせて対応していくことで、順応しても問題ないよい環境へと変化させることができます。
一人の場合でも、外注を使っていたりすれば同様な協業の対策が有効となります。全くひとりの場合はあまりないかもしれませんが、あったとしても、自分のタスクを明確にします。自分の中で朝やることや夜やることに組み込むことで、協業化という言葉とは少しイメージが異なるかもしれませんが、同じような効果はあるでしょう。
上意下達ではなく全方位目線からのITマネジメント
ここで言うマネジメントは経営者や役員、中間管理職らが一方的に実施するものではありません。関わっている各メンバや外注も含めて、全方位からの目線によるマネジメントが必要です。
協業化にあたっては特にその傾向が強く、関わるすべての人がやるべきことを預かって実施していくことで、停滞しているコトが進みます。上位の立場にある者が積極的に難易度の高い問題を預かってこそ、安心感が与えられ、進捗にはよい影響となります。
形式化や段階化にあたっては、3レベルという話をしましたが、典型的なレベル感でいうと、実務レベル、共有レベル、鳥瞰レベルといったものになります。
ITの実務レベルは非常に細かいことが多いです。当事者は漏れがないよう、最っとも細かいレベルにて実務にあたらないといけませんが、他者に対しては、細かいものが一律に並んでいても認知できませんので、少し分類・集約などをして、共有レべルにした上で、共有し、必要な部分をクローズアップして議論などを行います。
さらに、外部の人や上位の人達に対しては、鳥瞰レベルというもので共有なり説明なりをしていくほうが認識がしやすいことになります。レベルを変えることで一見自分にしか関係ないと思っていたことが、全方位から見えるようになり、マネジメント上の対策も打ちやすくなります。
まとめ
ITマネジメントの阻害要因となるNG行動を生み出しているのは、認識限界、自己偏重、現在偏重、環境順応の4つでした。

対策の方向性も、形式化、段階化、習慣化、協業化の4つがあります。

それぞれの主な特徴はこのとおりです。
形式化は、認識できていないものを見えるようにすることでイメージできるようにする。
段階化は、将来のステップを見えるようにすることで達成感をイメージできるようにする。
習慣化は、習慣的に行うことで難易度を下げ、レベルアップ感覚を得られ、継続したレベルアップができるようにする。
協業化は、手分けして達成することをイメージすることで、安心感と貢献感を得られるようにする。
認識限界への対策としては、形式化と段階化が有効です。
自己偏重への対策としては、習慣化と協業化が有効です。
現在偏重への対策としては、形式化と段階化が有効です。
環境順応への対策としては、習慣化と協業化が有効です。
そしてマネジメントの目線は全方位からの目線であることで対策がより有効になってきます。




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