新IT導入・システム開発プロジェクトでの構想・企画マネジメント2 構想・企画のマネジメント手法

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IT企画

構想・企画段階でのマネジメント手法と手順

新ITの構想・企画段階で何をするかという説明の次は、どのようにマネジメントしてくかという説明に移ります。

マネジメントということはどのように計画し、推し進めていくのかということになりますが、構想というそもそも曖昧なものを対象としているため、マネジメントと言っても少し難しい面があります。

難しいと言っても、何もマネジメントしないと、結果がいつまで経っても出来ないということにもなりかねませんので、進めていく上での留意点などを踏まえつつ見ていきたいと思います。

構想・企画でのマネジメント手順
  • 何もないところからのスタート
  • テーマ論点の検討体制構築
  • 論点検討時間・回数の計画
  • 論点の方向性決定状況の把握
  • 派生論点・課題状況の把握
  • 状況により対策を打つ
  • とりまとめと正式化をスケジュールする
  • 検討残件を決定しつつ、収束させる

何もないところからのスタート

現時点では、なんとなく実現したいテーマが上がっているのみです。

とは言っても、ITをテーマとしているのには間違いないので、ITに関わる投資が発生し、それに伴うビジネス上の変化が発生することになります。

これから検討し企画としてまとめていくにあたり、どのくらいの期間が必要かをまず考えます。

社長が1カ月後には導入するから検討する、と言い出しても、規模が大きく、検討すべきことが沢山あるということであれば、その期間は妥当ではありません。

この時点は予想がかなり入るかもしれませんが、大まかな効果と投資の金額感により必要期間についてイメージを持つようにします。

テーマ論点の検討体制構築

テーマに関連する検討体制を考えます。

一人で考えなければならないこともあるでしょう。

その場合においても、関係する人、すなわち意見を聞いたほうがいい人や、外部の情報提供者などもいるでしょうから、それも含め他体制として検討します。

複数の人が参加可能なのであれば、役割を決めます。推進リーダー、ファシリテーター、検討者、記録者などを決めます。

テーマの論点がいくつか上がってきたら、論点ごとに担当を分ける等の対応もできます。

論点検討時間・回数の計画

これから議論すべき論点がある程度見えてきたら、今後の計画を立てます。

論点ごとにどのくらいの検討時間と回数が必要かを計画します。

この際に注意すべきなのは、検討の間隔です。

構想することにおいては、作業ではないので計画した時間がこなせれば完成するというものではありません。

またあまり余裕がない時間の中で考えると、本当にやるべき方向が別にあるにも関わらず、別な方向に走ってしまうようなことが起きがちです。

もう一つ考慮すべき点は、参加する人たちの工数です。

構想段階では、日常のことを行いながら新たな取り組みを考えている状態となります。よって、構想の活動に割ける時間はそれほど多くはないはずです。

ここで言った時間というものは、表面的な作業時間のみです。構想といっているからには考えている時間が重要です。

考えているのは、そのための時間を取って構想することばかりでなく、潜在意識上で考えていることもあります。

考えるべきテーマを意識し始めたら、日常は他のことをしながら、やるべき方向性を閃くことがあります。

もしくは、あまり意識していなかったことを思いだすこともあります。

時間と回数をうまく設計することにおり、本当の目的に近づけることができます。最初に議論したことが振出しに戻ることもあり得ますが、よい方向に向かっていると思って進めたほうがいいです。

論点の方向性決定状況の把握

論点検討の計画ができたら、各会議を実行していきます。

各会議における進め方も決めておかないと、時間を無駄に使ってしまいます。

論点の議論するための資料を事前に用意できるものは用意します。そして時間内に結論に至れるように尽力します。

一つひとつどういう方向性がいいのかを議論していくわけですが、議論が発散してしまい、収集つかなくなることもあります。

各論点に対して、どのくらいの進捗なのか、あと何回ぐらいの議論で確定するのかといった情報により、状況を把握します。

あと少しで決まりそうだが終わらなかった、という時は、臨時で会議を組むこともあるでしょう。
スケジュール全体への影響を見極めつつ、対応していくことになります。

派生論点・課題状況の把握

論点は最初に想定していたものだけとは限りません。

顧客データを論点になっていたとしても、営業方法に関する論点にも派生することはあります。

大きな目的を達成し、効果を上げるには、当初考えていた方向性とは別の方向性も検討したほうがよいということは当然あります。

派生した論点が発生していくこととなります。ということは、議論回数も増えるということです。
マネジメントとしては、増加した計画の状況を押さえておく必要があります。

また、議論を進めるにあたって、障害となることが発生し、結論に至らないという事態が発生します。
それらは課題として認識します。

マネジメントとしては、課題リストを見て、増加傾向か減少傾向かによって、状況を把握します。

増加傾向であれば、当初想定が甘く、議論回数や情報収集を増やしたり、スケジュールを伸ばしたりすることも検討が必要となります。

状況により対策を打つ

状況は議論を毎回した時点で見ていく必要があります。

議論したら次の会議が増えて、実施したらまた増えて、という状況であっては、マネジメントされていません。

結果、予定していた完了日になっても、終わっていませんので延期します、ということになってしまいます。

なんとなくゆるくやっていることであればいいのですが、コストも掛かることですから、できればきっちりとしていきたいです。

論点増加や課題増加に対して、ただ会議を増やすという手段だけでは、収束できるとは限りません。

やはり、計画とのズレになりますので、原因を探り、原因を除去する対策を打つ必要があります。

テコ入れの法則に従えば、現状が見えていなかったのか、将来が見えていなかったのか、あるいは進め方が悪かったのか等の原因を探るところから、考えます。

そして、対応する関係者が何をしていくのかを考えます。

やみくもに進めるより、立ち止まって考えたほうが結果早く進むことは多いです。

とりまとめと正式化をスケジュールする

構想が見えてくるのと同時に、企画としてまとめるスケジュールを策定します。

企画の最終ゴールは、正式化されることです。

このままベンダーに渡せば、こちらのやりたいことが明確であり、またこちらがどのような体制で取り組もうとしているかもわかるため、すぐに提案が可能となります。

自分たちが納得いくという観点ばかりでなく、外に出してもわかるというところまで正式化は目指したいです。

とりまとめのスケジュールに加えて、正式化についてもスケジュールしておきます。

正式化ということは、社長をはじめ関係する人たちが納得するものになっている必要があります。
つまりその時間がかかるということです。

なんとなく月末で完成させようという計画だと、まとめが月末となってしまい、正式化が翌月になってしまうことがあります。そのようなことがないように、予め正式化の段取りを計画していくことが肝要です。

検討残件を決定しつつ、収束させる

構想・企画においては、方向性を決めるということがゴールとなります。よってすべての論点について、詳細まで検討しきれないことは出てきます。

見極めは必要ですが、詳細検討がしきれないと判断したものは、検討残件として残さざるを得ません。
ただし、何らか終わらせないと、いつまでも終わらないことになってしまいますので、残件となったものを決定したうえで、完了ということになります。

残件は、どのようなものであり、どのようなことを行えば決定できるのかは、できれば見極めたうえで完了としたいです。

IT構想・企画でありがちな問題

現状がよく把握されていないに関わらず、新しくやることだけがテーマ抽出されている

構想のタスクステップの中では現状把握がありました。しかし、実際は現状把握が不十分なことが多いです。

現状というのはITのこともありますし、業務プロセスやビジネスのこともあります。よほど小さいビジネスでない限りは、現状を漏れなく把握し、何らか形式化するというのは、骨の折れるものです。

一方で、新しくやりたいことは聞けばよく出てきます。

やりたいことを実現するには、現状への影響があり、現状を維持するためのほうが、コストが掛かってしまうこともよくあります。

従って、影響する現状については把握すべきなのですが、得てして新たな部分しか見ていないことが起きてしまいます。

マネジメントが全く想定どおりにならない

構想段階では、発散してしまってなかなか結論に至らないです。

考慮すべきことが多いので、当然そうなってしまうのですが、期限を見据えて実行していくにあたっては、うまく進むようマネジメントしないといけません。

マネジメントとして、当初会議回数などを設定し期限設定したものの、全くその通りにならないといったケースもあります。

外注したケースでは、場合によってはコストが上がってしまいますので、気が気じゃない状況となってしまいます。

マネジメントとしては、ただ回数の消化を見るのではなく、発散を踏まえていつ収束しそうなのかを見極めて計画し直す必要があります。

先のフェーズを検討してしまう

新ITの実現に関して、ITに詳しい人が参加していると、構想・企画という段階を飛び越えて、設計し始めてしまう人がいます。

エンジニアはどのように作るか、ということのほうに関心が高いため、そのような傾向にあります。
しかしそれは構想段階においては邪魔です。

検討しているものは、実現できるのかできそうにないのか、もしくはできるとしたらおよそどのくらいのコストが掛かりそうなのか、という論点に戻さないといけません。

検討する時間がない

構想を立ち上げたものの、実際参画してもらおうとした人が忙しくて参加できないということは起こり得ます。

目の前のことではなく、将来検討の段階なので真剣さが欠けてしまいがちという問題も起きます。
よって、検討時間への優先順位が下がってしまいます。

複数の人が参加しないと議論にならないこともよくあることでしょう。そういう場合は、時間が取れるよう、会議計画をしなければいけませんが、場合により集中討議などの時間確保も必要となってくるでしょう。

既存ITと関係する部分は論点が細かくなってしまう

新たに実現する部分は、要求としてこれがやりたい、という言い方になります。

しかし、既存ITに関係する部分は、実際にITがありますので、どの機能に何を施すかという話になってしまいます。

当然影響を見極める上で必要なことですが、やや細かい話になりがちで、議論が長引く原因にもなります。

難しいことでもありますが、要点を見極めて議論を進めたいところです。

却下した案が実は正しいものであった

議論が発散する段階においては、いくつかの代替案にて検討します。そして、いずれかを何らかの理由で選択します。

受注時のプロセスを効率化するようにするのか、受注条件そのものを見直すのか等といった選択肢があった場合、一旦構想としてはプロセスの効率化が優先であるということになったりします。

受注条件そのものの見直しは案としては出ているが、それほど有効ではない、という判断となったことになります。

ところが、その判断が構築時点で誤っていることが発覚することもあります。

それは、構想という期間においては、あまり具体的になっていないことから、判断のための材料が間違っていて、結果判断を誤ったことになります。

場合にもよりますが、構想段階での誤りは、普通は取り返しがつきません。

コンサルタントがきれいに描いてくれたが、実現性がなかった

構想・企画においては、コンサルタントを起用し将来像を描くということがあります。

コンサルタントと言っても様々です。

ある業務パッケージソフトウェアを提案するコンサルタントもいれば、言ったことをきれいにストーリー立ててまとめてくれるコンサルタントもいます。

コンサルタントは大抵資料をまとめるのが上手いため、納得感のあるものが仕上がります。確かに、我々の課題と解決の方向性は合っている、というものになります。

ところが、描いた将来像が誤っていたということがあります。もしくは、誤ってはいないが、実現性が難しく、もし実行したら頓挫するくらいのものであることも発生します。

そういうことが発生する理由は、コンサルタントがIT構築や現状について詳しいとは限らないからです。

特定のパッケージやサービスのコンサルタントであれば、提供しているサービスの範囲はわかりますが、本当にそのユーザ企業が求めていることや、どのように活用するべきかという観点は、わかりきっていない可能性があります。

いずれにしても、実現性において問題がある内容になっていることがあるため、注意が必要です。

構想がアイデアに留まっている

構想・企画といっても、どのレベルまで検討を進めるのかが曖昧なところがあります。すべてが曖昧とは言わないものの、曖昧な部分が残っていることは往々にしてあります。

注意しなければいけないのは、アイデアというレベルと構想は違うということです。

単にアイデアと言っているということは、こんなことができるだろう、というレベルということです。
構想と言っても実現性について検討は必要です。できるかどうかわからないということはアイデアに留まっていると言えます。

すべてがそうだとは言わないですが、よくあるのは、いくつかある要求の中で、検討があまりできなかったが故に、アイデアレベルのものが混ざっていることです。

新IT構想・企画で本当にやるべきこと

新ITの構想・企画は、何もなかったところから検討を開始したり、なんとなく考えていたことを具体化したりして進めていくため、これからやることが見えづらく、大変難しい行為であることに間違いありません。

検討や調査により具体化し、イメージが湧かないので資料化して比較し、といった行為を繰り返し、結果なんとかまとまってくるものとなります。よって、最終成果にたどり着くのも難しければ、進めるためのマネジメントもより一層難しいものとなります。

進めるという観点からいうと、注目すべきはどこに答えがありそうなのかを押さえるということになります。

答えを持っている人がいそうであれば、その人を連れてきます。

しかしそのような単純なことでないことが多いので、それでも答えに最短で近づけるようにする必要があります。

今ないものを構想していくということは、知恵のぶつかり合いにより見いだせることがあります。

また、知恵が深い意識の中にあり、時間を経て出てくるということもあります。

そのような特徴のある構想というものを、限られた時間で毎日会議設定したとしても、なかなか答えには近づきません。

発散と収束という話をしてきましたが、発散は大分類、中分類、小分類の各レベルで起きます。

つまり、検討を進めていく段階のいずれの段階でも起きうるということです。

ぶつかり合って、広がって、新たに生まれ、頭の中で統合され、さらに思いつき、といって経過を経て、最終的にまとまってくるものです。

このような行為をマネジメントするというのはさらに難しいことではあるのですが、そんなものだと思いながら対応すれば、ゴールは見えてくるものです。

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