新IT導入・新システム開発を進めたら、既存システムでできていることすらできていなかった

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旧システムからの刷新

既存システムが存在し、新システムに置き換えていくというIT導入・システム開発プロジェクトは多く存在します。

新しいITシステムでは、今までできていることは前提に、新しくできることを考えていきます。
しかし、新しくできることはもちろん大事なことではあるのですが、今できていることをよく見ておかないと、新しいことはおろか、全く動かないITシステムになってしまうことがあります。

既存システムの仕様どおりという要件により、実は要件が全く定義されておらず完成しなかった

化学品関連メーカーにてERPパッケージ導入をITベンダーに委託して行うプロジェクトが発足しました。

基本方針としてパッケージに業務を合わせるという掛け声のもと、プロジェクトが進められました。
新に実行したい業務プロセスについては、導入するパッケージソフトで実現できることを確認できていました。

既存システムの業務については、概ねパッケージソフトで実現できるという要件定義時の確認により、プロジェクトは進んでいきました。

プロジェクトの終盤となり、テスト結果から既存システムと結果が違うのではないかという指摘が多く発生してきました。

要件定義を実施した経緯を確認すると、新システムの仕様として既存システムの仕様どおりとするとの記載が多く存在しました。既存システムの仕様は書き出すとかなり多くなってくるため、当然実現すべきだし、パッケージソフトでも当然できるであろうということで、不明確なままとなっていたと思われます。

既存システムと違うという、指摘はどんどん増えていきました。

発注側は、違うという指摘があまりにも増え、完成していないと主張し、IT導入プロジェクトは中断となりました。

受注側のITベンダーは、ERPパッケージの導入により業務をパッケージに合わせることが合意できているということから、完成しているので支払いを求めました。
この場合は、受注側のITベンダーの主張が通っています。

既存システムを新システムに置き換えたが動かなかった


金融業の基幹システムにて、古いOSのシステムから新しいコンピュータを導入し、新しいOSにて動くようにする、というシステム開発プロジェクトがありました。

今回の要求は、全く同じように動かせるようにする、というものになります。
すなわち、新たな業務要求はなく、システム要件のみということになります。

ITベンダーに提案を求め、実行できるという提案を受け、発注を行いました。
ところが、システム開発が進むうちに、同じようには動かないという事象がでてきました。

進捗はどんどん遅れ、最終的には納期に間に合いませんでした。

発注側と受注側の関係は決裂しました。発注側では他のIT導入も進めており、当該システムの更新が間に合わないと、導入を延期せざるを得ず、損害を被ります。

今回、ITベンダーは一旦実現性を提案しているため、責任を問われることになります。

結果として、取引でのもめごとを解決することになることは、お金を一部取り戻せても、失ったものや時間は取り戻せません。

旧システムから新システムで動作するように改修するいわゆるマイグレーションという作業は、今のまま動くというようになることを待っているのみのはずですが、このように失敗することもあり得ます。

事前調査がしっかりと行われたか、リスクは潜んでいないか、あればきちんと合意できているかなどを今一度確認したほうがよいでしょう。

既存の仕組みを流用して新たな仕組みを構築するはずだったが、うまく動かなかった

ITシステム間の通信機能の刷新を行うために、ITベンダーに委託しました。
ITベンダーに調査してもらい、多くの部分は既存システムの機能を流用して作成できるという見解を得ました。

全く作り直す必要があると思っていたため、流用することで設計費用を抑えることができます。
他のITベンダーにも相談しており、すべて作り変える見積もりであったため、費用が高く、断りました。

流用を提案したITベンダーには感謝しつつ、プロジェクトとして開始されました。

ところが、進捗が進んでいくと問題が発覚します。

流用しようとしたプログラムが動きませんでした。

動かいなら、動くようなものを作ってくれ、ということで新たに進められようとしましたが、ITベンダーはこれまで実施した作業に加えて、さらに新たに作るプログラムについて支払ってくれ、と言い出しました。

それらの金額を足すと、最初からすべて新たに作ると言ったITベンダーの見積もりよりも高くなってしまいます。

もちろん、断り最初の金額内で作成してくれ、と言いました。

結果はどうなったでしょうか。

この場合は、受注したITベンダーはすべてを一式で請け負っているとみなされたため、ITベンダー側の主張は通らず、完成するまで作るということになりました。
流用といっても、本当にどこまでできるかはリスクが残ります。

最初にいくつか試すなども必要かと思います。

まとめ


既存システムが存在し、新たにIT導入・システム開発を行う場合、既存システムが実現できていたことを実現できないといけないことが多いです。

しかし、既存システム仕様をはっきりさせ合意したり、プログラムレベルでも新システムで動くかどうかを確認したりすることは、すべてを事前にできることのほうが少ないです。

ソフトウェアに組み込まれた仕様というのは、複雑で一見わからないことも多いです。

すべてを対応してもらえる人がいれば一番いいですが、いなければ、既存システムから正確に移植できるかはリスクと捉えて、慎重にことを進めていきましょう。

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